そばの講座

信州はにきていつの間にか、おそばの講座を受け持つようになった、私も素人ながら公民館活動で、蕎麦打ちの講師をして六年目になる今では講座を卒業した皆さんで、毎月OB会を開いて蕎麦打ちを楽しんでいる、時にはあちこちに蕎麦打ちの修行にも出かける、お蕎麦は健康にもよいし、何よりも皆さんと蕎麦を打って交流するのが楽しみである。

1.蕎麦の話
2.蕎麦を打つ
3.蕎麦の栽培

 1.蕎麦の話

1, 穀物としては落第生 稲は葉や茎が成長してから穂を出して花が一斉に咲き、穂を出して咲いた花のほとんどが 実になる、蕎麦は葉と茎と花が同時に成長を続ける、だから1株で2000個も花を咲かせるけれども収穫できるのは10分の1ほどしかない、熟すと触っただけでパラパラ落ちてしまうだから穀物としては落第生。

 

 2,飢饉の緊急食

  昔のお百姓は、収穫したお米を年貢としてお上にとられてしまう、自分の食べる分として、あれた土地でたくましく育つ蕎麦を作った、台風や冷害でお米が採れないときには蕎麦の種を多めに蒔くと、2ヶ月近くで収穫できてしまう、お米と違う親密な作物だった。

 行者とか修験者は山中での修行に対し、そば粉を常時携行し清水で溶いて食べたり、そば粉の練ったものに梅干しをすり入れて丸薬のようにして食べ、厳しい修練に耐えた。

 

3,タンパク質が多い 蕎麦のタンパク質は水に溶けるただ一つのタンパク質、だからそば粉と水があればぎりぎり 生きてゆける、穀類の中でタンパク質を1番多く含んでいる、人間の体で作れなくて、生きてゆくのに必要な必須アミノ 酸がバランスよく含まれている、お米+味噌、豆腐もバランス良い食品だが、お蕎麦は1つでその役割ができる。

  タンパク質1216%、油分23%、灰分1.82.9%、繊維分0.71.4%澱粉主体の糖質70%、タンパク質のアミノ酸組 成は必須アミノ酸リジン、イソロイシン、ロイシン、含粒アミノ酸(メチオニン、シスチン)

 

4,そば湯に栄養あり 蕎麦切りして茹でるとゆで汁の中にルチンやタンパク質などの栄養が溶け出してしまう、そ ば湯を飲むのはとても良いことだ、高血圧によいルチンは100gの中に37mgも含まれる、さらにルチンは蕎麦全体に含 まれるので、蕎麦もやしや、若葉のお浸しを食べても良い

 

5,薬効がある 蕎麦には病気を防ぐ力がある、ルチン、リノール酸、ビタミンE等は血管の老化を防ぐ、高血圧にな らない、お酒の前に食べると、コリンや良質のタンパク質ビタミンE肝臓を守り強くする、そのほかに便秘、腰痛、歯痛 、刺抜きに効く。蕎麦澱粉は小麦粉やジャガイモと比べてベジアスターゼによる分解が劣り、結果的にカロリー摂取の予 防となり、優れたダイエット食品である。

  ビタミンB1,B2,ナイアシンも多くカルシウム、鉄、マグネシウム、ナトリウム、マンガン、アルミニウムなどの ミネラルも多い。

 そば粉に含まれるコリンや良質のタンパク質、豊富なビタミン類の肝臓を保護し、強化するため、脂肪肝や肝硬変を防 いでくれる。

 

6,蕎麦切り 蕎麦を食べるとき、細長く麺に切ったものを蕎麦切りという、昔は蕎麦の実をおかゆにしたり、粉にして お湯で練ったものを食べていた。

2.蕎麦を打つ

そば粉と小麦粉の量7:3

1kg玉、 8人分そば粉  700g

         小麦粉  300g

        水又はお湯 400~440g(水は40~42%冬季及び乾期42%)

500g玉 4人分そば粉  350g

              150g

        水又はお湯 200~230g(水は40~42%冬季及び乾期42%)

300g玉 2人分そば粉  210g

         小麦粉   90g

        水又はお湯 129~130g(水は40~42%冬季及び乾期42%)

作り方

蕎麦打ちはもたもたしない、材料を用意してから窓を閉めて風の流れを止め湿度が変わらないように保、手早く打つ。

計量材料を軽量ばかりで計量し正確に測る

よく混ぜるそば粉と小麦粉をボールに入れよく混ぜる。

水回しそばの味を最も左右する作業、水又はお湯を正確に測り、様子を見ながら半分加えてゆく、菜箸で素早くかつ入念に混ぜる、全体にすべての粉に水分を行き渡らせる、まんべんなくすりあわせ残りの水の半分を入れる玉を作らないように優しく手でパン粉状態を作る、すべての粉に水分が行き渡るように、絶対に力を入れてはいけない、水を含んだそば粉が細かな粒になるようにまんべんなく混ぜる、両手で素早くかき混ぜると粉が少しずつ大豆状態にまとまる、ここで固さを見る指先で少しの量握って耳たぶの硬さ。

練りみず回しを終え大豆の塊になったものを手に力を入れ粉の粘りを出してゆく、耳たぶの柔らかさより少し硬いぐらいまで50~100回体重を加え、外側から内側へ向かって繰り込むように折り返し錬る、蕎麦の腰を出す作業、練っていると耳たぶの固さになり粘りが出てくる、そこでもう一息練る、蕎麦が白く色が変わってくる、柔らかくてこしのある蕎麦ができる。

へそ出しよく練って耳たぶより少し硬いぐらいに柔らかくなったら、菊揉みして空気を抜く、このとき割れ目傷などが無くなるように、全体がつるっとした円錐形になるようにまとめ、砲弾型にする、これをへそ出しという。

熟成練り終わったら、ビニールの袋に入れて15~20分寝かせる、熟成の間温度が上がって温かくなる。

延ばしのし板に打ち粉をして、手のひらで丸く伸ばしてゆく、厚さ1cm位になったら今度は麺棒でさらに薄く延ばす中心から外に向かい伸ばしてゆく中心に山を残す30cm位になったら開いた両手ではさいで裏返す、今度は手前から麺棒に捲いて延ばす手は真ん中から外側へ押し広げるように伸ばす、このとき麺棒をのし板に落とさないように、最初は捲くだけで力を入れない、麺棒を90度回して左から右に広げまた手前から巻いて手の平を指の先から手の付け根まで1,2,3、と繰り返し転がす、大きく伸びてきたら、真中まで巻いてから、1、2、3を繰り返す、あまり力を入れない自然に伸びるのを待つ、同じ動作を繰り返す。

切り延ばし終わったら、包丁で切れる幅におり重ねて切る。このとき打ち粉を十分にすること、パットなどの底の平らなものに重ねないで並べる、重ねるときはラップなどで仕切る、乾燥しないように、ラップか濡れぶきんの固く絞ったものをかけておく。

茹でなるべく大き目の鍋で沸騰させた多めの湯に1掴みの蕎麦をバラバラにほどしながら入れ、1分30秒ぐらい浮き上がったら取り上げて冷たい水にさらす、そばに直接水がかからないように、引き締めると同時にぬるめを取る、氷水を用意してさらに引き締めるとなお良い、食べる直前に茹でる。

3.蕎麦の栽培

土地を選ばない蕎麦は冷涼な気候に適し、干ばつにもかなり強い、多湿地や重粘な土壌をのぞけば、土地を選ばないから適地が広い、生育が6080日と短く、タデかの作物で、輪作にも組み入れやすい。

 病害虫や雑草の防除も普通は必要なく、高収益ではないが、労働時間あたりの所得は割合高い。

 

秋蕎麦と夏蕎麦がある蕎麦には春蒔き夏取りの夏蕎麦と、夏蒔き秋取りの秋蕎麦がある、夏蕎麦より秋蕎麦の方が多収で味もよく、一版的には秋蕎麦がおおい、このような昨期の差から品種も秋蕎麦型と夏蕎麦型に分かれている、逆に使うと著しく減収するので注意しなければならない。このほかに、時無しや三度蕎麦という夏蕎麦と秋蕎麦の中間品種もあって専用種よりは低収だが、一応はは両用することが出来る。

 種子は大型で充実したものを選ぶ、成熟期が一斉におく。古い種子は発芽率が落ちるので、新しいものを使う。古いものを使う場合は、植木鉢などに数を数えて橎種し発芽歩合によって増量する、発芽率が50%以下では初期育成にむらが出来よい成果は上げられない。種子は十分乾燥させネズミの害のない場所に保存しておく、ビニール袋に保存すると蒸れやすいので注意する。

 

畑の準備と種まき蕎麦の肥料は土地柄や前作によって異なる、特に窒素の加減が大切、PH5~6.5の弱い酸性土を好む、収量を上げるためのは10アールあたりチッソ5.5キロ、リンサン3キロ、カリ8キロ、倒伏しやすい作物でありチッソの加減が大切。

 播種量は10アールあたり全面蒔きで10キロ、筋蒔きで5キロ、蕎麦は種子の1角に土がかかれば発芽するから浅い覆土でよい。ばらまき栽培では中耕・除草はもちろん、病害虫防除や雑草防除の農薬は一切しないですむ、筋蒔きでは、畝幅三五センチ蒔き幅一五センチ蒔き溝の深さ一センチ、管理機使用の場合、管理機の入る畝幅として、蒔き幅を二列並べる、開花まで2~3回中耕と土寄せを行う。

 

収穫蕎麦は一斉には開花せず、成熟も小豆以上に不揃いである、このため全部成熟するのを待つと、早いものは脱粒して損失が多くなる、成熟の状況を注意深く観察して、遅れている丈夫はかまわず、下部の子実の大半が成熟するのを見て収穫し、乾燥中に後熟させて調整する。

 刈り取りは、脱粒に注意し、朝霧のあるうちか、雨後または曇天で湿度の多い時を選ぶ、乾燥は数束を円錐形にたて掛け合う島立てか、ハザかけで、ほぼ二週間をめどとし、水分を一五%以下とする。

 脱穀後、篩やトウミでゴミを取り除き、筵などで乾燥させる。

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