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ドクター三原の
ワンポイント・アドバイス
  
体温の正しい測り方

 

 

  
ある日の診察室で;
私「今日は36.3度だから、熱も下がって気分は良くなりましたか?」
患者さん「いいえ、私は平熱が低いのでこれでも未だ熱っぽくて具合は良くないです」

このような会話は毎日何度となく繰り返されます。
ここで問題になるのは、まず、平熱 です。
平熱は? と尋ねられて即座に答えられる人は何人かはいるでしょう。
しかし、平熱とは何ですか? 本当に正しく測られて信頼できる値ですか? と聞き返されれば、自信を持って答えられる人は、きっと、あまりいないでしょう。
それどころか、医師を初め医療従事者でも 自分の平熱を尋ねられて即座に正しい値を答えられる人はあまり居ないと思います。
私自身は偶々、数年前にある感染症で入院したことがあり、その時、すっかり炎症が治まって、体温も何時も安定してからの、一日3回の検温の値の連続5日分を平均して、36.7℃という値を得ました。これを平熱としてよいかなと思っております。

ご承知のように日本では、体温測定の部位として、特殊な場合を除いて、腋の下を用いておりますが、そこを選んでいるのは日本以外ではロシア他の東欧諸国のようです。他の国々では、口の中での測定(口腔内検温)を採用しております。その理由は、口腔内の方が部位による温度変化が少ない、より体内温度に近い ことに依ります。事実、腋の下では部位により1℃の差が出るといわれ、体温計の挟み方がとても大切になります。

体温測定の原則は、測ろうとする部位の中で最も高い温度を知ること、即ち、体内温度により近い温度を知ることなのです。腋の下は前の方の一番深い所が温度が一番高いのでそこへ体温計の先が行くように、そしてぴったりと挟んで出来るだけ密封された空間を作る必要があります。
多くの人達の測り方を見ていますと殆どの人は、体温計を前から後ろへ向けて挟んでおり、ひどい場合には温度を感じ取る先の部分が腋の下から後ろの外へでてしまっている場合すら見られます。
測り方がこうですと恐らく正しい体温よりも低い温度を測ってしまっており、結果として平熱の低い人が多くでるのではないでしょうか?

部位によって温度変化の大きい腋の下を選んでしまったからには、正しい測り方を医療機関が率先して啓発していくより他にないのではないかと思います。
測り方が間違っていると何が起こるかというと、そのために処置が遅れる危険性が生ずることになります。高齢の方や幼少児は熱があっても、それを感じなかったり、訴えることが出来なかったりで
それに気付くのが遅れ勝ちです。加えて、検温が不正確であっては更に遅れてしまい、受診する時にはかなりの高熱になってしまっていることもないとは言えません。
早く気付いて、早く処置を受けるためには正しい検温は最も基本的な自己管理の一つです。
   

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